『くまのプーさん』生誕100周年 〜イーヨーの「クヨクヨする力」は打たれ強さの象徴〜
『くまのプーさん』の舞台100 Acre WoodのモデルとなったAshdown Forestの風景
1926年にイギリスの児童文学作家A.A.ミルン(1882-1956)によって最初の物語が出版されてから、今年で100周年を迎える『くまのプーさん』(Winnie-the-Pooh)。作者のミルンが、息子クリストファー・ロビンの大切にしていたクマのぬいぐるみから着想を得てこの物語を生み出したエピソードは有名ですね。
100周年を迎える今年、イギリスでは、春にはロンドンのショッピングセンター、ウェストフィールドでディズニー主催の公式イベント『The Lost Balloon』が開催され、多くのファンを喜ばせました。また夏の間は、物語の舞台となったサセックス州にあるアッシュダウンの森でアートパフォーマンスなどの記念プログラムがでとても賑わっていました。
心優しき少年クリストファー・ロビン、ピンクの耳がかわいい内気なピグレット、暴れんぼうのティガー、ガーデニング好きのラビットなど。のんびり屋で食いしんぼうのプーさんと百町森(100 Acre Wood 、100エーカーの森)の仲間達が繰り広げる日常の物語は、楽しいだけではなく、生きる上での多くのインスピレーションに満ちたメッセージを読者に伝えてくれる作品です。
以前このサイトでもプーさんの名言集をご紹介しました。今回は、個性豊かなプーさんの仲間達の中でも異彩を放っている、あるキャラクターに注目。独特な哀愁を漂わせるロバのイーヨーの名言を見てみましょう。
“The nicest thing about the rain is that it always stops. Eventually”
““Could be worse. Not sure how, but it could be.””
最初のセリフは、ある雨の降る日。「雨のいちばんいいところはね、いつかは必ずやむってことさ。まあ、いずれはね」とイーヨーは語ります。一見ネガティブに聞こえるこの発言は、実は、どんな困難も永遠には続かないという人生の本質を見抜く精神力の表れです。また2番目のセリフ、「少しぐらい悪くたって、もっと悪くなることだってあるさ」という言葉には、最悪の事態をも想定するイーヨーの打たれ強さが隠されています。
イーヨーの口癖は、「私はどうせ、こんな性格なんです」というものですが、自分自身の心の状態をそのまま認めているという点で、とても誠実です。 そして、イーヨーのもっとも素晴らしいところは、自分を変えようとしない点です。「ありがとう、でもぼくはイーヨーのままでいたいんだ (“Thanks, but I'd rather stay an Eeyore.”) 」という言葉の通り、ネガティブな自分を否定せず、むしろその個性を抱きしめるイーヨーの姿勢は、 EYFS(イギリスの幼児教育)が重要視する「レジリエンス (困難から立ち直る力)」のあり方を象徴しています。次回は、この「レジリエンス」について、もう少し詳しくお話ししましょう。
“Thanks, but I’d rather stay an Eeyore.”