なぜ、W杯は「イギリス」じゃなくて「イングランド」?4つの地域が別々に戦う理由と、イギリスの「みんな違っていい」
2026年のサッカーワールドカップ(W杯)も様々なドラマを生みながら盛況のうちに終わりましたね。そんなW杯にちなんで、今回の記事はみなさんが一度は「アレ?」と思ったことがありそうなトピックです。
W杯を観ていると、「どうしてイギリスじゃなくてイングランドなの?」と不思議に思うことがありますよね。私たちが普段「イギリス」と呼んでいる国の正式名称は、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国といって、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドという4つの国が合体してできた連合国家なのです。
ではなぜ、オリンピックでは「イギリス」(チームGB)という一つのチームで戦うのに、なぜW杯では4つの地域が別々に出場するのでしょうか。
4つの地域それぞれに国旗があります
実は、世界最古のイングランドサッカー協会(1863年創立)を筆頭に、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドがそれぞれに独自のサッカー協会を設立してきました。1904年に国際サッカー連盟(FIFA)が誕生するよりもずっと前から培ってきた歴史と伝統があるからこそ、現在もサッカーのW杯には4つの地域がそれぞれ参加することが許されているのです。
W杯が始まると、イギリスの人々は「イギリス人」としてではなく、自分の故郷の国旗を振って、出身地域のチームを熱狂的に応援します。このお国柄を象徴しているのが、イギリスの子ども達が持つ「みんな違って当たり前」という感覚です。
イギリスでは4つの地域ごとに教育制度が分かれていますが、どの地域にも、EYFS(イングランドの幼児教育)が掲げる4つの原則の一つ、「A Unique Child(ユニークな子ども)」に類する考え方があります。イギリスで国籍を尋ねると、「イングランド人(English)」「スコットランド人(Scottish)」「ウェールズ人(Welsh)」と答える人が多いのも、小さな頃から子ども一人ひとりの個性を大切にする「ユニーク・チャイルド」として、誰かと比べられることなく、自分自身のルーツやアイデンティティをのびのびと育んできたからです。
それでも、いざW杯が始まって大会が盛り上がってくると、ライバル同士がお互いのアイデンティティをリスペクトし合い、サッカーのお祭りをとことん楽しむ。そんな観戦ムードが広がるところも、それぞれの「違い」を認め合うイギリスならではの魅力です。