えっ?ティーって飲み物じゃない? (その2)

前回、イギリスでは「ティー」は紅茶などの飲み物だけでなく、夕食という意味があることをお知らせしました。食べ物がティーなんて何とも不思議な話ですが、一体なぜなのでしょう?

実は、イギリスで夕食を何と呼ぶのか?は、意見が真っ二つに分かれていて、YouGovの2018年の調査では57%のイギリス人がディナーと呼び、1/3の人はティー、それ以外の5%がサパーと呼んでいるとのことです。

その不思議を紐解いていくと、どうやらそこにはイギリスを北と南に分断する地理的な理由があるようです。下のマップを見てみて下さい。ティ-と呼んでいるのは、緑のイギリスの北部の地域に住む人たちで、ディナーは南部の青の地域に住む人たちです。ちなみにロンドンでは89%の人が夕食をディナーと呼んでいます。

時代を遡ると、1800年代初頭のイギリスの北部やスコットランドの人々は、日中にしっかりした食事を取って、夕方6時ごろにパンにチーズやハムなどの調理しない軽食を、紅茶と一緒に取っていました。そのため、当時はランチがディナー、夕食はティーと呼ばれており、それが今日でも夕食をティーと呼んだり、学校給食をスクールディナー、給食のおばさんがディナーレディと呼ばれる所以です。

暖かいポットに入ったティーには、特に寒さの厳しい北部の人たちにとっては、冷たい食事を温かく感じさせてくれる魔法の力があって、1日を締めくくる食事の代名詞になったのです。

この仕事終わりに取る軽食は、通常は高いハイテーブルやカウンターに配膳されたためハイティーと呼ばれていますが、ごく一部の上流階級の人たちにとっては、夜遅くにディナーを取ることがおしゃれだったため、昼と夜の間の空腹を満たす間食として別の意味でティーが習慣になっていきます。

ビクトリア女王の友人だったベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアがその考案者と言われていますが、夕方4時ごろに友人を招いて、客間やお庭で紅茶と一緒にケーキやサンドイッチを食べるようになりました。

もうお分かりですね♪

それが今に伝わるアフタヌーンティーの始まりです。

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